実はあまり知られていない振動に関する用語
防振、除振、制振、制震、耐震、免震、防音、吸音、遮音
振動に関する用語には様々の用語があります。いずれも揺れ動く物に対して対策する様子を表現しています。
揺れ動く様子の違い ~ 振 と 震 の違い ~
「一定の周期をもって震え動いている状態」を「振動している」「震動している」と言いますが、
- 振
- は揺れ動く状態
- 震
- は震え動く状態
を表します。
振 は、手偏です。
手に持って振り回す状態をいいます。比較的小さな動きを表しています。
震 は、雷が鳴り響いて万物が揺れている様子を表します。
自然現象で大きな物の動きです。 地震、余震、震源、震災など自然現象で大きく揺れる現象に対して使用する言葉になります。主には、地震です。
機械振動
私たちが扱う振動は、主に機械振動になりますので、
防振、除振、制振、と言った言葉を使います。
一方、地震時の設備を固定する用途でタックゲルを扱っており、その場合、自然現象の地震に対する対策の言葉として
制震、耐震、免震
を使います。
それぞれの違いにつきまして説明いたします。
「防振」「除振」「制振」の違い
振 は、比較的小さな現象(振動)を表します。
機械振動などです。
振動は、予定していない動きの場合やっかいな現象になります。設備機械の振動により、近くにある精密測定器が影響を受けて値が安定しない。
このようなケースの場合、様々な対策を考えると思います。
防振
振動を防ぐ事です。
振動源(振動を発している設備装置)から床を伝って振動が精密測定器に伝達している状態で対策を考えます。
振動源の下に防振シート(ノンブレンシート)を敷くことで、機械振動を縁切りします。防振は、振動源に対して対策をするときの表現になります。このとき、振動源の設備装置の振動は止まってはいません。振動を防振シートが吸収して、振動伝達を断っている状態です。防振材の上で振動源は振動したままで、その振動を床に伝達しない状態を作り出しています。この状態を「防振」している状態と言います。
除振
振動を除く事です。この場合、振動源からの振動は、床を伝わり精密測定器に影響を与えています。測定器の下にノンブレンなどの防振マットを敷いて、床からの振動を除きます。精密測定器 に対して除振対策をしている。と表現いたします。
防振も除振もやっていることは同じで方向が違うだけといえます。
制振
振動を制している状態です。防振も除振も振動そのものは押さえ込む訳では無く、伝達を縁切りしている状態です。 防振材の上で振動源は自由に動いています。これに対して、制振は振動そのものを押さえ込む技術になります。振動エネルギーを熱に変換して消し去る技術です。制振構造の一つに、剛性体にゲルなどの軟性体を接合した構造体があります。制振シートの構造がそれにあたります。堅い物と柔らかい物が合わさった構造体に振動を与えますと界面の摩擦により振動エネルギーを熱に変換し消し去ります。弊社の製品では、ノンブレンコート(AC-6)が制振塗料の代表格になります。
制震、耐震、免震の違い
震動は地震などの自然現象の揺れを表しています。弊社は、地震転倒防止用粘着シート ノンブレンタックゲルシートを扱っていますので、地震に関わるこれらの言葉に触れることがあります。
地震を制御する技術に使われる言葉で、
制震
地震の揺れを制御する技術、エネルギー吸収機構を組み込む構造をいいます。
耐震
強い構造により、丈夫にすることでゆれを小さく抑える技術を耐震構造といいます。
免震
地盤との絶縁により、地震のゆれから免れる構造を免震構造といいます。
このように地震対策の手法についていろいろな言葉があるのです。私どもの製品は、地震によるエネルギーを吸収する(ゲルのダンパー性により)効果も若干期待できますが、主には強い粘着強度によりしっかりと床に張り付き、強い転倒方向の力に耐える耐震性を謳う転倒防止用耐震粘着ゲルシートになります。
「防音」「吸音」「遮音」の違い
私どもの製品は、固体伝播する振動に対して対策する製品を主に扱っています。振動でお困りのお客様の中には、固体伝播した振動が空気を振動させることにより「音」になって空気伝播する現象に対応したいとお考えの場合もございます。同じ振動に関するお悩みですが、空気伝搬による騒音はなかなかやっかいな事象になります。振動源、元から絶つことで解決することもおおいので、弊社製品のノンブレンで解決するケースもございますが、ここで防音、吸音、遮音の違いを理解しておく必要がございます。
防音
音を防ぐ事。吸音や遮音の技術を使って音を防いでいる状態。
吸音
音を吸収する現象。吸音とは、発生した音を吸収して小さな音にする技術です。
遮音
音を遮る現象。発生した音を閉じ込めている状態。音を跳ね返している。
最も理想的な防音対策は、効果的な吸音材を使用することになります。遮音材は音を跳ね返して遮断する技術ですので音そのものは小さく出来ません。
弊社の製品は、今のところ「吸音」は出来ていません。振動の元を絶つと言う考え方で、固体伝搬している対象にノンブレンをご活用ください。